恐怖の蟻地獄

夏が終わったのはいつのことだったでしょうか。秋が始まったと思ったら、もう夜は上着を着ないとかなり冷えてしまいます。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

吉祥寺蟻地獄事件

最近いろいろ事件があるようで、つい先日も吉祥寺で驚きの事件(事故?)起きました。清掃車蟻地獄事件です。清掃車が停まっていると、後ろからずるずると地獄に引きずり込まれたということです。

驚きですね。You Tubeを開くとこのような事故の映像が簡単に見ることができます。特に、今回の吉祥寺事件のような突然の道路陥没事件といえば、ひと頃(今もか)の中国のお家芸(?)だったようなお話です。それなのにここ最近は、こういう事件がやたら日本でも起こっているような気がするのですがどうでしょう。

事故の数々

記憶に新しいところでは、10月27日夜7時20分頃、岐阜県中津川市のリニア中央新幹線の「瀬戸トンネル」の工事現場での崩落事故です。掘削のために爆薬を爆発させた後の内部点検中、周囲で崩落が起き2人が巻き込まれ、44歳男性が亡くなり、52歳男性は足や腰の骨を折るなどの大怪我をしたということです。

その前には、外環道の掘削工事での土地陥没。被害にあった調布市仙川の住民たちは、結局立ち退きの方向に進んでいるということです。数年前には、福岡でも地下鉄工事による道路の大陥没。最近どうも多いです。

笹子トンネル

2012年12月2日日曜日午前8時3分。忘れもしない「中央道笹子トンネル天井板落下事故」です。

事故発生時に走行中であった自動車3台が下敷き、うち2台から出火。黒煙が上がったうえトンネル内の煙除去装置も機能しなくなり煙の排出もできない。下敷きとなっていたワゴン車からは20代の男女5名の焼死体が発見、普通乗用車からも70代の男女と60代の女性が焼死体となって発見。また、トラックを運転していて崩落に巻き込まれた食品卸売会社勤務の50代の男性は携帯電話で同僚に助けを求めていたが、救出時にはすでに死亡。どれだけ苦しかったことでしょうか。9人もの命が失われたのです。

原因は、ただの、本当に「ただ」のボルトの強度不足、ボルトを固定していた接着剤の劣化など…。こんな原因で命を失うなんて、本当に無念だったでしょう。実は、私、この事故のほんの5時間前に、仕事先の大阪からこの「笹子トンネル」通過していたんです。朝の緊急ニュースを聞いて背筋が凍る思いでした。

現在笹子トンネル手前の初狩パーキングエリア、富士山の見える場所に慰霊碑があります。日本の3大桜のひとつとして有名な北杜市にある「神代桜」の種から育てられた桜が慰霊碑を見守っています。

MADE IN JAPAN

ちょっと前まで、車でも、電化製品でもなんでも「日本製」といえば、いいもの、高品質の代名詞でした。その昔、最悪だった「日本製」は昭和世代、高度経済成長期の技術者のおかげで世界中からの信頼を勝ち得ました。ここ最近は、その「日本製」技術がもろくも崩れ去っているような気がします。なぜなんでしょうか。

2位じゃダメなんでしょうか?

覚えていますかこの言葉? 2009年11月、次世代スーパーコンピューター開発で「世界一を取ることで国民に夢を与えるのは、プロジェクトの目的の一つ」と説明した文部科学省や理化学研究所の担当者。それに対する当時の政権民主党の「仕分け人」が「世界一になる理由は何があるんでしょうか?」と聞きましたね。

そのあとの発言が「2位じゃダメなんでしょうか?」でした。官僚らにとっては意表を突かれたようで、明確な答えもなかった、というか言えなかった。

この言葉が「完全」なものを作るために必死で働いていた技術者たちの気持ちに水を挿したことは間違いないでしょう。「こんな程度でいいんじゃないの」「まあいいか〜」と技術者たちが思い始め、最近はやりの「忖度」し始めれば絶対事故が起きるでしょう。

「こんな程度でいいんじゃないの」「まあいいか〜」。どうも最近、技術者たちの間にこんな言葉が交わされているのではないか、と疑うほどの事故の多発です。世間の風潮も、特に最近の子供たちも「わざわざ1番取る必要ないもんな〜」などと流されていってはいませんか。

そういった「心の隙」の積み重ねが、最近の日本に起こった考えられない事故の遠因だと私は思うのですが…。

「想定外」は免罪符?!

最近の自然災害も少し思うところがあります。熱海の土石流は論外としても、最近よく聞くのが「想定外」という言葉です。国は「想定外」と言えば、自然災害で亡くなっても、怪我をしても仕方ないよね。と言いたいんですか?

さて国家の1番大切な仕事をご存じですか? それは「国民の命を守る」ことです。それを「想定外」だったから仕方ない、では許されないのではないでしょうか?

東日本大震災の時もそうです。地震学者はプレート境界でマグニチュード9以上の地震での津波の規模、火災発生程度のシミュレートをしているはずです。気象学者は驚異的な台風、大雨の被害、河川氾濫の度合い等必ずシミュレートをしているはずです。日本の「知」の最高峰にいる学者です。彼らは、絶対に「想定外」という言葉は使いません。

国の言う「想定外」のことを未然に防ぐには多くのお金が必要なんです。そのお金を使いたくないから? 自分のポッケに入れたいから? 国のお金をそういう風に思っている政治家もいる。

いいですか皆さん。「想定外」という言葉は、国の免罪符ではないんです!

土井たか子

衆議院議長を務め、法学者でもあった日本社会党の土井たか子を覚えていますか? 彼女の信念とも言えるでしょうこの言葉を思い出してください。

「ダメなものはダメ」

この言葉には「忖度」など一切ありません。「馴れ合い」など一切ありません。真摯に国民のことを思い、政治信条を貫こうとする土井たか子の「気概」を感じます。

BRAINの生徒たちも「こんなもんでいいや」などという気持ちを一切捨て、自分の目標に向かって一直線に邁進してもらいたいと思う今日この頃です。

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