逆走ばあさん

数ヶ月ぶりのBRAIN 通信になってしまいました。もう桜もとっくに終わり、新緑も通り過ぎ、沖縄では梅雨入りです。時のたつのは早いもので、中学・高校では新学年になって始めての中間テストも終わろうとしています。皆様、いかがお過ごしのことでしょうか。

事件続出

前回のBTI(BRAIN 通信)でもお伝えしたとおり、今年に入り私も私的な事件が続出しておりまして、正月早々の「自宅便器破壊事件」から始まり「息子群馬入院事件」。そしてその後も事件は続きます。

板橋の私の実家の「犬のさくらちゃん脊髄損傷事件」です。わざわざ板橋まで行って「さくら」ちゃんを車に乗せ病院通い。結構時間とられてしまいます。

極めつけはつい先日の「オヤジ酔っ払い転倒肩の骨折事件」です。なにしろ左肩が動かせないので何にも出来ないわけです。したがって毎日板橋まで行って実家の親父の世話と親父が飼っている4匹の犬の散歩。

レトリバーが2匹。しかも、足腰が弱ってしまった老犬と、元気溢れる頭の抜けた若いやつ。一緒に散歩できません。残りの2匹は、前述の脊髄損傷でよたよたのチンと、愛想を振りまくキャバリア。一緒に散歩できません。というわけで4匹を別々に散歩するのです。

しかもこいつらときたら、早朝4時過ぎには散歩へ行けと、ワンワン吠えまくるのです。したがってわざわざ朝3時半に社長室を出て板橋まで散歩に出かけるのです。肉体的経済的精神的に死にそうな毎日は続きます。

前方よりライトきたる

そんな中である晩、仕事が終わり八王子の自宅に帰ろうとした夜10時過ぎ、調布北高から神代植物園の横を通り調布に出る道を脇の道を走行中の出来事でした。この道路は中央分離帯があり、調布方面2車線の快適な道路に整備されています。

夜ですから前方からライトが見えるのは当然のこと。私もぼけーっと普通に走っていたのですが、しばらくするとライトの光が私の目の前にあることに気づいたのです。そしてしばらくだったかほんの数秒だったか定かではありませんが、多分数秒もたっていなかったでしょう、車が私の目の前を私めがけて走ってくることに気が付いたのです!! 早い話、このままだと間違いなく正面衝突になるわけですよ。

停まれ! バス

2車線なものでとなりの車線に移るしかないととっさに判断したのですが、隣にはぴったり小田急バスがいるではありませんか!!! 車線は変えられない!!!!! とっさにクラクションをぶりぶり鳴らしハイビームで激しくパッシング。バスも猛烈なクラクションとパッシングしてるのですが、その前に止まれよと思ってしまいます。バスもやっと停まり、その前に滑り込み。右側面をほんの少しかすってやっと逆走野郎も停止。よかった~

すぐ降りて逆走野郎の車のドアをたたき「降りなさい」といったのですがまったく反応なし。中をのぞいてみると白髪のばあさんが車内で停止状態。ああいうのをフリーズというのですね。やっとわれに返るばあさん。窓を開けたのです。

恐怖の逆走ばあさん

「おばあさん、ここはこっち向きに走っちゃいけないんだよ」と優しく話しかけてあげた人格者である(?)私の言葉をまったく理解していないばあさん。後ろを見るとこっちの車線は百メートルも停止しているであろう車の列。隣のバスも私の車が目の前だからもちろん停止。

とにかくこのばあさんを下ろして車を移動しなければと思い、ばあさんを無理矢理車から降ろしばあさんを後ろの座席に押し込んで、私がばあさん車の運転席に乗り暴走車をすぐ横の側道に移動。すぐ私の車も側道へ。バスは「ぷわ~ん」とかご挨拶のクラクションを鳴らして去っていきました。

ばあさんに聞くと調布北高の方に行きたいというので紳士である(?)私はわざわざばあさんを後ろに乗せたまま反対車線まで動かしてあげました。そして「気をつけていくんだよ。ちゃんと信号見てね」とか年寄りと生徒に優しい私は言葉をかけてばあさんを見送ったわけです。

胸騒ぎ

私も車に帰り八王子に向けて再起動したのですが、信号を二つほど越えるとどうも胸騒ぎがしたのです。すぐにUターンをして調布北高方面に車を走らせたのです。この道は直線道路なので前方の様子がわかるのです。するとはるか前方の車たちが障害物をよけるようにハンドルを右にきり、そして左に戻っていくのが見えました。

「もしや」と思い直進し、前方の車が右によけている場所の近くにさしかかったとき、左手にボンネットがひしゃげた車と、巻き込まれたと思われるもう一台の車が歩道に乗り上げているではありませんか。
しかもそのボンネットがひしゃげてエアバックが風船のようにこれでもかと膨らんでいる車はやっぱりあのばあさんの車でした…

そのまま帰りました

ばあさんは車からすでに脱出して歩道にぼーっと立っているのです。自転車に乗った警官が二人、慌ててうろうろしていました。私も車を止めて、警官に先ほどの逆走事件を話して、あのばあさんは多分ボケておられているので丁重に扱うように口添えして帰りました。

もちろん三鷹方面に車は向いていたので、そのまま八王子ではなく社長室別名貴賓室に帰りました。いまでもあの逆走ばあさんはどうしているかなーなどと物思いにふける年寄りと生徒には優しい私でした。

めでたしめでたし。

BRAIN TRUST INFORMATION  No.128

前の記事

正月早々

次の記事

天罰!