本当のブレイン

09.7.21 BTI.No.102より

いやー、東京は蒸し暑いですねー。このむんむんする暑さの中、皆さんいかがお過ごしのことでしょう。残念ながらダイエットは続いていません。なんといってもBRAIN 河口湖合宿の食事は毎年凄いものです。結局3kg太ってしまいました。またまた仕切り直しです。

意味分かってるの???

そういえば、BRAIN で漢字検定を始めてから何年たったでしょうか。近年は、検定協会の化けの皮が剥がされ、不正問題、損害賠償問題なども出てきました。それでも内容的には、まともな漢字力をつけるために必要なアイテムではあります。ところが、最近では、生徒の漢検練習に対する取り組み方や、言語能力にはいろいろと考えさせられることがあります。

以前通信にも書きましたが、「彫刻」という字の読みが分からず質問してきた4年生。これは別に読めなくても仕方ありませんが、この生徒「彫刻って何ですか」と尋ねてきました。小4で「彫刻」自体を知らなかったわけです。小4といえども学校の図工室などでは散々目に入っているはずでしょう。目には入っているけど、その言葉や、言葉の意味がわからないなんてことは、この4年生以外にもたくさんいるでしょう。

BRAIN ってどんな意味?

高学年の生徒、さらに大人でもよくあることです。特に「外来語」。最近会話の中でも、英語をよく耳にします。「この問題のアイデンテティは…」とか「ネガティブな発想では…」等々…。わかって使ってるんですかね? さらに看板の横文字も。そうだ、当教室”BRAIN ”だってそうですね。意味分かっています? 「脳」です。最近TVできむたくが「Mr. BRAIN」とか言うのをやっていたので世間にBRAIN が浸透したかな~。

でも、この塾の名前を”BRAIN ”にしたのは「脳」だからではありません。「脳」が足りないからないものねだりでせめて塾の名前くらい「脳」にしよう、なんて思ったわけでもありません。実は…。

52年前の交通事故

時は、今から52年前の1957年9月1日未明。場所はロンドン郊外。1台の車トライアンフTR2が猛スピードで街路樹に激突し運転手が亡くなりました。なんとこの運転手は、世界的天才ホルン奏者デニス・ブレイン(Dennis Brain 1921.8/17~1957.9/1)だったのです。エディンバラ音楽祭を終え、ロンドンで待っている妻のもとに帰る途中の出来事でした。「デニスの前にデニスなし、デニスのあとにデニスなし」と言われた天才ホルン奏者の突然の死でした。

車好きの天才ホルン奏者

車には目がなかった。EMIの豪腕プロデューサーのウォルター・レッグは、

「デニスがいつもの悪戯好きで憎めない少年らしさをかなぐり捨てるのは、車の運転の時だけであった」

と述懐している。

帝王カラヤンとのエピソードも面白い。二人とも最新型のスポーツカーのスペックは全部暗記していて、いつまでも議論していた。カラヤンがイギリスのフィルハーモニーオーケストラで唯一ファースト・ネームで呼びかける団員がデニス・ブレインであったという。カラヤンから借りたスポーツカーで冬のアルプス越えをしたとか色々な話がある。

~モーツアルト:ホルン協奏曲全集…ブレイン(hr)カラヤン~フィルハーモニーOは不滅の名作。すぐ買いに行こう!!!

ホルン奏者の譜面台

練習のとき、ブレインの譜面台の上に乗っていたのは楽譜ではなく、自動車雑誌「オートカー」の最新号だった…。名指揮者オットー・クレンペラーは「ブレイン君、私の練習中に猥本(もちろん自動車雑誌)を読むのはやめてくれないかね!」と言えばブレインは 「クレンペラー博士、僕は好きなものを読みますよ!」と言うことでした。

~『奇跡のホルン―デニス・ブレインと英国楽壇』というデニス・ブレインの評伝ともいえる書。是非買って読もう!!!

若かったあの頃…

ブレインに痺れたのは高校に入ってからでした。わけも分からずホルンを吹いて喜んでいたわけですが、ブレインを聴いて考えが変わりました。まずは音色です。深くコクのある音と言うんでしょうか、しかし、明るくパリッとした音。そんな相反するような音を出すために、唇の形、唇の開き具合、ほほ・あごの筋肉の張り具合、ラッパに突っ込んでいる右手の置き方などなど…。あらゆることをデニス・ブレインになるためにやっていきました。管弦楽団ではウィーンの奏法も学びましたが、やっぱりブレインの音を目指していきました。懐かしいな~。

BRAIN の由来が…

そして挫折し日常に戻った20代後半、仕事も株式会社の「塾」の勤めです。そのうち、上司と喧嘩で首になり、三鷹に塾を開校するわけです。名前はBRAIN に決まっていました。尊敬するデニス・ブレインは「脳」だったから塾の名前としてもぴったりでしょう。さらに、この塾の造作をとことんやってくれた設備会社は「システム・ブレーン」です。BRAIN はすべてにぴったりだったわけですねー。

もうひとつの9月1日

9月1日といえば、関東大震災ですね。何万もの人が死んだ1923年の大地震です。この間も静岡で大地震、東名高速は崩れるし、おかげで中央道は大渋滞。だいたい高速代休日1000円なんてやるからさらに悪化する。9月1日は防災意識を高める日としても大切な日です。

でも、そんな私にとっての9月1日は、52年前の霧の深かったロンドン郊外の自動車事故、天才ホルン奏者デニス・ブレインの死です。日本で唯一のブレインの弟子であったNHK交響楽団で長年首席ホルン奏者を務めていらっしゃった千葉馨さんが亡くなったのも去年のことです。

老人になったら

今は、ホルンを吹く時間も場所もありませんが、老人になり、ボケも始まり、数字が読めなくなって引退するときが来るでしょう。そのときは、愛犬たちと(もう死んでるだろうに…)、私の愛器の2台のホルンを蓼科の別荘(これは借りてるヤツなんで私のものじゃないんだけどなー)に持っていって、昔の音楽仲間と老人アンサンブルでも組んで楽しい老後を暮らしたいなー。

でも、そんな老後が来る前に、最近の「老人」思い(いじめ)の生徒たちのおかげで、先にあの世に行ってしまいそー。頼むから生徒たちよ、こんなささやかな老人の夢を壊さないでおくれー。老人の心臓に負担をかけない程度に、宿題はちゃんとやって、覚えるべきことはしっかり覚えて、受験頑張ってくださいな…。老人に夢を与えましょう。