八百万の神様

01.4.18 BTI No.31より

「春眠暁を覚えず」とはよく言ったもので、寝ても寝ても10時間以上寝ていても、まだ眠たい今日この頃、皆様いかがお過ごしのことでしょうか。
時のたつのは早いもので、あっという間に入学式も過ぎ、知らぬ間に桜も散り、木々の緑もそろそろ新緑が美しく映えるような、この季節の移り変わりに驚かんばかりです。

骨董品

昭和62年のある晴れた日のことです。骨董品と言われ続けてきたワープロを買ったのは。

当時はワープロもあまり普及してなく、1台20万円を超える高価なものでした。今は中学生でも使っている携帯電話などなかったと思います。前の職場の事務室にも和文タイプライターがあっただけでした。

頑張った骨董品

生徒たちに馬鹿にされても、他の教師たちから「使いづらい」といわれ続けても、このワープロでせっせと書類を作ってきました。

この骨董品ワープロはワープロの癖に機能が大量にあり、表計算からデータベース作成、さらにデータの個別印刷、図形作成からグラフ作成に至るまで、数々の技を使うことができ、できないことは印刷スピードのアップと、インターネット関係(と言ってもなぜか通信機能はあった)くらいなものでした。

これらの機能を隅々まで使いこなせるようになったのもかなりの時間がかかりました。ところが最近BRAIN になってからは故障しがちで、何度も大事な書類が消えたものです。それでも使い続けて13年。BRAIN も創立3周年を迎え、時代は某首相の言うIT革命という流れに流されるようになっていきました。

パソコン登場

この4月、春期講座直後の4月5日、ついに一大決心をしました。パソコンを買ってしまいました。事務処理の大幅な軽減と、ホームページ作成、メールなど、ついに「自分もITの申し子か」などと思いつつ買ってしまいました。

買う前は「パソコンなんて」という具合でしたが、買ってからは毎日機能を覚えるために使いまくり、前のワープロのことなど忘れていました。ところが、先日昔のフロッピーを整理していたところ、昭和63年の買った当日に作った文書が出てきました。

骨董品で初めて作った文書

私は、三度の飯よりクラシック音楽が好きで、若かりしころは毎日楽器と戯れる生活を送っていました。 服やら食べ物には元来興味なく(飯は多ければいいという感じです)、金を使うといえば好きな演奏家のレコードやCDばかりでした。

そのCD・レコードのリストを、買ったばかりのあの骨董品ワープロで作成していたわけです。本当にあのワープロを買って嬉しかったんでしょう。指揮者やオーケストラ、その他の演奏家の名前、録音年月日やコメントなど約400枚分が書かれていました。

13年前といえばまだ私も独身だった。あの頃の日々を思い出し一人感傷に浸ってしまいました。

八百万の神様

東洋には昔から、ものには魂が宿っているという考え方があります。日本でも昔から「八百万(やおよろず)の神様」というふうに、あらゆるものに神が宿っているという信仰を持っていました。

ところが最近は、少しでも物が壊れると修理もせずに、すぐ新しいものに飛びつき、さらに「新型~」という触れ込みがあると、まだ使えるにもかかわらず、すぐ新しいものに手を出してしまう世の中です。携帯電話でもすぐに機種変更だとか言って使えるものを処分してしまいます。

BRAIN でも講座時などは食事時間がありますが、みんなでコンビニに買いに行って大量のごみを捨てています。生活は昔に比べ格段に便利になっていますが、日本の八百万の神様たちは、このような日本の現状を見てどう思っているんでしょうか。

文部科学省か科学文部省か知りませんが、最近高校生などにボランティアの義務付けなどとおっしゃっているそうですが、そんなことを議論する暇があるなら、毎朝のごみ収集に交代で生徒たちを同行させ、手伝わせたらいかがでしょうか。

いかに、ものを粗末にしているか、使えるものを捨てているか、ごみの分別がいい加減か、がわかると思います。早速、武蔵野・三鷹界隈からはじめてはどうでしょうか、市長様。

80歳になったら…

話は飛びに飛びましたが、では骨董品ワープロはどうしましょうか。私が有名人になった折に「中原記念館」の中に「若かりし頃使用していたワープロ」として展示できるよう保存しておくのも案ですが、まずそういう記念館はできないので田舎に持っていって蔵の中にでもしまっておこうと思います。

80歳くらいになって蔵を探して、もう一度骨董品ワープロでもたたいて過去の思い出に浸ってみようと思います。