情報操作法

立冬の候、落葉風に舞う今日この頃、皆様いかがお過ごしのことでしょうか。世間の動きも、金融界の再編やら、大企業の倒産など、さらにカレー殺人やら、そのほかの毒物混入事件などなど、まあ以前から続いていることですが、暗い世相になっているようです。

大人のやること

「秋だなー」などと悠長なことも言ってられません。今年の3月まで私が働いていた前の職場も引っ越しを余儀なくされ、以前の半分のスペースで授業を行っているようです。

いつも思うことですが、大人社会が子供社会に与える影響は非常に大きいものです。世相を良くすることが、これからの世界(日本だけではありません)の活力になると思うのですが。

どうも大人社会は、金で金を生むことを第一に考えるような社会で、汚職やら、背任やら、保険金詐欺やら、まったくこのような犯罪にも閉口させられますね。もう少し、次の世代の手本になるような良識ある人物、企業などがあってもいいと思うのですが。子供たちが荒れていることを騒ぐ前に、大人のそんな行動を騒ぐべきではないでしょうか。

偏差値の罠

翻って我々受験世代を抱えた大人の行動を考えてみましょう。

まず、一番困るのは情報です。特に数字で表された情報です。情報をそのまま鵜呑みにする。これが問題なわけです。

例えば、偏差値が60、61、62と上がっていったら成績が伸びた。60、59、58と下がっていったら成績が落ちた。こういうふうに判断してしまうと楽ですが、こんな風に考えることはできませんか?

わざと試験範囲を教えて、そこだけ徹底的に詰め込んでみましょう。そうすれば偏差値は上がります。 逆に試験範囲も教えずに、今必要な重要単元ばかりやっているBRAIN のような塾は、とうにその試験範囲を飛び越えて先を進んでいるので、生徒たちも忘れてしまったところもあるでしょう。そうすると偏差値は落ちます。しかし、直接偏差値が受験に結び付くわけではありません。

合格実数の罠

もう一つの例ですが、A高校は早稲田に50人、慶応に30人合格してるから優秀だ、という錯覚。

最近の生徒は、大学の学部などどこでもよく、ただ大学名(ブランド名?)さえ手にはいればいいと思っている輩も多いでことしょう。早稲田なら、政経・法・商・文・教育・社会科学・人間科学など、文系でもこれだけの学部を受けることができます。普通、政経に合格できる生徒は他学部も全部合格します。つまり、1人で早稲田合格数7ということになります。

さらに、早稲田を受ける生徒は、慶応も受けるはずです。慶応も、経済・法・商・文などがあるわけで、極端な場合、1人で早稲田合格7・慶応合格4という数が得られるわけです。

これが合格総数50人の中の7を占めるわけで、結局合格数50でも、ほんの10~20人の優秀な生徒だけが合格していないことも考えられるのです。

こんなわけで、数字の操作は情報の中でも最も操作しやすいものなのです。気を付けましょう。

学校説明会の罠

このほかにも困ったことはたくさんあります。学校説明会がいい例です。

当然説明会ですから、いいことしか言いません。校長が理想の高校像を歌います。そして、実務の先生が、学習内容を細かく伝え、特に英語教育に重点を置いてます、など報告するわけです。生徒たちが卒業しても、まともな英語も喋れないくせに。

最近、大学の学部も、高校も、国際やら、英語重視やらをつけると人気が出るようですね。英語やりたいのなら、アメリカでもいけばいいんです。2ケ月もいれば、誰でも喋るようになりますよ。ただ、1人で日本人のいないところに行けばですが。

英語が喋れても、そのあと何するんですかね? 将来、みんな仕事をしなければいけないわけです。喋るだけならアメリカでは3才児だってできます。仕事があって、この一部分として英語が使えればかなり得になりますが、仕事ができなければ、英語が喋れても自己満足の世界に浸るのが関の山です。もう少し現実を見たほうがいいですね。

学校説明会より大事なこと

なぜか英語の話になってしまいましたが、学校説明会に行くぐらいなら早起きをして、登校風景を見て その足で学校に入ってよく観察して、その学校のカリキュラムをもらってくる。そして、昼過ぎまで買い物して、昼食をとって、お茶飲んで、また下校時に生徒の様子を観察しに行く。

カリキュラムの内容チェックはなかなかできないので、後日私のところに持ってきて検討する。それでも不安なら、運動会やら、文化祭にいって生徒の様子を観察する。こういうことが、学校説明会よりその学校の本当の説明をしてくれます。実際これをやっている保護者の方もいらっしゃいます。

このほかの困ったことは、特に中学入試の妙な情報・噂です。特に母親たちの会話ですね。他塾に通ってる母親から情報を得ると困るんです。不正確すぎて。

名前は上げませんが、某Axやら某B研など、そこに通っているだけで自分の子は優秀だと誤解しているピントの外れた母親が多く、そこの教師の扇動にうまく乗って安心しているわけです。

無意味な合格判定

去年私が個人的に教えた某B研に通っていた親戚の女の子ですが、いつもテストだと算数が悪く、私に助けを求めてきたわけです。

桜蔭・女子学院を受験すると言ってたんですが、確かに成績表では算数が悪く、ここらへんの中学は無理と判定されていました。そこで問題を見てみると、まったく志望校の問題から懸け離れている難しさ。不必要な問題を省くと、ほとんど満点でした。

自信をなくしている彼女に、「大丈夫、絶対合格するよ」、と言って自信をつけさせることから始まって、 週に1回2時間くらい、遊びながら算数を見てやったところ、その某B研の所属校で10人くらい受験した中で、彼女だけが桜蔭・女子学院に合格。他の生徒はみんな不合格だったそうです。

因みに合格した彼女の合否判定テストの結果は、相変わらず算数の偏差値が低くて無理という判定でしたが…。

教師の扇動に乗って難しい問題、つまりやる必要のない無駄な問題ばかりやらされていた彼女は不幸でした。不合格だった生徒はもっと不幸でしょう。

一番大事なことは

ちょっと最近の世の中に腹の立つことが多くて興奮してしまいましたが、やはり、一番大事なのは、つまらない噂や、情報に左右されることなく、子供たちを信頼し、その子にとって何が一番良いかを、我々大人が真剣に考えるべきことだと思います。

その中で、将来へ向けての勉強方法、学校の選び方が見えてくると思います。11月に入って面談も進めていきたいと思いますので、是非じっくりとこの機会を利用してご保護者の方々とお話していきたいと思います。面談ご希望の方は電話でご連絡ください。

これから寒さも増していきます。生徒の健康管理も含めて、是非、温かい家庭環境の中で彼等を見守ってやって下さい。

BRAIN TRUST INFORMATION  No.7

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