亀ばあさん

あけましておめでとうございます。今年もよろしく御願いしま~す。とはいえ、BRAIN 受験生たちはこれからが本番で、大晦日や正月なんてなかったでしょう…。でもでも、合格したらその日が正月です。皆さん頑張りましょう。

そして、このBTIを書いている今日17日の土曜日は大学センター試験1日目です。今日は珍しく天気も晴天に恵まれましたが、18日はどうでしょう? 例年、センター試験の日と2月1日中学受験の朝は雪が降ったり、その他何かが起こることになっています。今年は何も起こらなければいいのですが…。

懐かしい雪の日の受験

この時期になると私の最悪の受験体験を思い出します。ちょうど初めての大学受験の日でした。山の中の某C大学。その日は夜半からの雪でめちゃくちゃ寒く、交通機関にも遅れが出ておりました。最寄り駅について、大学まで雪の中走りました。

当時は体重も55kgぐらいで軽かったので走るのなど平気でした。ホントですよ。だいたい大学の下見なんかしたこともないわけですから、初めての通学路です。あたりは真っ白。途中から山道に…。完全な山道ですよ。角度だって急です。しかも雪…。とてもじゃないけどもう走れません。

雪の山道

「いったいこの先に何があるんだ」「こんな山の中に大学なんてあるわけない」「こんな雪でこの坂は100%無理」などといろいろな思いが頭の中を交錯します。山道に入って最初のカーブを回ったあたりで、雪の路面にござが敷かれているではありませんか。

路面一面ござの嵐。雪の日の「ござ攻撃」です。「やったー、ござ万歳」。神を見ましたよ。ところが、上の方に行くにしたがってござの面積が小さくそして細くなっていくんです。さらに上の方を見てみると、ござを持ってほっかむりをしたおばさんたちが10人くらいで一生懸命ござを敷いてるではありませんか。感動しました。

ござおばさんありがとう

「受験生のために一生懸命ござを敷いてくれるござおばさん。ありがとう。頑張ります」などと感激しながら、ござおばさんたちの愛情の詰まったござを一歩一歩力強く踏みしめながら山を登っていくと、上流の方、じゃなくて上の方から絹を引き裂くというか雑巾を引き裂くような声がしてきたのです。

「ぎ゛ゃ゛ー゛」。その雑巾の声のした方をみてみると、ほっかむり部隊のひとりのおばさんが何枚もの丸めたござを持ったまま、上流から「どんぶらこどんぶらこ」なんてもんじゃありません。まるでボブスレー競技のような勢いで、下流にいる私めがけて一直線で転がってきたのです。

こっちだって「ぎ゛ゃ゛ー゛」ですよ。あたり一面「ぎ゛ゃ゛ー゛」の大合唱。一瞬にしてその場は修羅場と化したわけです。

大パニック

もちろんこんなに愛情深いほっかむり部隊のござおばさんを救わなければいけないと思いましたよ。でも、逃げるので精一杯でした。私の後ろの方では数人が雪だるまになったござおばさんと激突し、完全な修羅場でした。それを見て私は「よかった」と思ってしまいました。

何たる破廉恥な人間なんでしょう、私は。人の不幸を見てよかったなんてとんでもない。自分が被害にあわなかったからよかったなんてとんでもない。でも、その上さらに、大笑いしてしまったんです!!! 神様、こんな私をお許しください。でも、腹抱えて笑ってしまいました。

まぶたに焼きついたござおばさん

試験中も、あの転がってたござおばさんの姿が浮かんでくるんです。さらに、あの雑巾を引き裂くような悲鳴の合唱が耳についてはなれないんです。笑いがとまらなくて腹筋がひくひくいったまんま試験を受けました。

国語なんかまったく考えることなんかできませんよ。ボブスレーおばさんを消すために「どんぶらこどんぶらこ」ばっかり思っていたら、頭の中は試験の最初から最後まで桃太郎が川の上流からものすごい勢いで「どんぶらこどんぶらこ」と向かってくる情景が浮かんできます。

合格発表

とはいえ、試験も終わり帰宅。ござおばさんが滑って転んでくれたおかげで絶対合格!!と余裕で思っていた超楽天的な私。

さて、数日後合格発表です。合格者は自宅郵送です。その日昼過ぎまで寝ていた私は、母親に通知来てなかったか聞いたら疑惑の目で「きてないよ、あんた落ちたんじゃない?」と…。

「そんなはずはない、ござおばさんが変わりに滑ってくれた」と母に言ったら「だからあんたはバカなんだ」と罵られ、こっちも焦りましたよ、ホント…。そんなはずはないと、片道2時間もかかるC大学まで掲示板を見に行くことにしました。

こんなときの2時間はやたら長い。やっとの思いでC大学に到着、とんでもなく広いC大学のグラウンドの前には合格掲示板。「8640」あるんですよ。これ受験番号です。「どういうことだ!!!」また片道2時間かけて自宅に戻るの巻。

亀ばあさん

帰宅したらもう夕飯の時間ですよ。まったくどうなっているんだと騒いでいたら、自宅の裏に住んでいた私の祖母が、亀のようにのそのそやってきました。

「おい、これ届いてたよ」と渡された1通の分厚い封筒。C大学からですよ。「合格通知書在中」みたいなちょっと興奮する文字が書いてあったりして。

「いつきたの?」と亀ばあさんに聞くと「朝来てたよ」だって…。母は散々「あんたバカじゃないの」とか罵ってたくせに、「朝寝てたからね~」とかへらへらして言い訳するし。まあ、そういう私も昼ごろ起きたのが悪いんだけど、ばあさんもばあさんだよ亀ばあさん、もっと早く持ってきてくれよ。

そのときいつも表情のない亀ばあさんが、私を見て「にたっと」笑ったんです。その顔はあの忘れもしない「ボブスレーござおばさん」でした。恐怖のござおばさん呪いの巻。

~完~

こんなふうに受験は当日何があるかわかりません。「念には念を入れ」みんな頑張りましょう!!!

BRAIN TRUST INFORMATION  No.96

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