最近嬉しかったこと ~その2

2003.11.18 BTI.No.61より

インターネットを見ているとき、偶然「青空文庫」なるものを発見し、そこで「野菊の墓」を見つけました。伊藤左千夫に出会ったのは、確か中学3年の頃でした。甘酸っぱい思いがよみがえってきました。実は、私、当時生徒会長をやっていましたが、前生徒会の副会長であったT先輩の妹が3年6組の学級委員で、生徒会の会議に出席していました。
この妹さんは「たみ」という名前で、目がパッチリしたまことに可愛い女の子でした。多分、彼女にほのかに恋心を持っていたのでしょう、「たみ」さんがいると緊張して、うまく話せないことが多かったように記憶しています。

たみさん!!

「野菊の墓」の悲劇のヒロインが、「民子」です。読みましたよ。「民子」と「たみ」が重なってくるんですよね。泣いちゃいます。当時、「たみ」さんは、事故でお父様を亡くされ、見ていてもかわいそうなくらいでした。「たみ」の方を何とかしてあげたいと思うようになってしまうわけです。恋心ですかね。やっぱり好きだったようです、ははは。

連載小説はいかが

さて、今回この「野菊の墓」を連載小説風に、少しずつ生徒に読ませたらどうだろうと思ったわけです。実はこれにはネタがあるわけで、東京新聞の夕刊がネタになっております。東京新聞は面白いです。A日やらY売新聞など、面白みも全くなく、自分たちを「天下の正論」と思っているふしがあって、私は好きではありませんが、東京新聞は一味二味違います。一度読んでみてはいかがでしょう。

この東京新聞の夕刊の連載小説が夏目漱石の「坊ちゃん」なのです。目からうろこです。今の作家の連載でなく、古典になっている漱石ものです。1日分を読むと「次はどうなったっけ…」などと思い、翌日の夕刊が楽しみになってきます。これがヒントでした。本1冊渡して「読みなさい」。これも、一つの手でしょうが、連載方式はなかなかなものです。これは、私の実感からきた感触でした。

民子ブーム

大事な試験前だというのに、思わず実験台に中3Hさんを選んでしまいました。「次が読みたい!!」 これが、彼女の言葉でした。わたしも、他にもやることはあるし、「野菊の墓」の古い文字・言葉を手直ししながら、読み仮名もつけて作成したので、徹夜が2・3日続きました。こんな苦労のあとに、期待していた返事が返ってきたときの嬉しさたるや、感動といってもいいくらいのものでした。

「野菊の墓」連載バージョンはHさんの感動し涙している姿を見て、中3女子の間に広まり、浪人生のY本君ですら、感動し目が潤むといった状態。試験前の緊張の中「民子」さんブームです。生徒たちは家に帰ってまでも「民子」「民子」らしく、中3のお母様から、こんなお便りをいただきました。

お便り紹介

娘がブレインで「野菊の墓」を読んで感動した。と言ってきました。そう遠い昔、私も読んだがすっかり忘れている。
「超感動して涙がとまらなかった。」と、
それ程までのめり込み心に沁入り感じたのだ、と心の中でつぶやきながら、
「それでどんな話で泣いたの?」と尋ねれば、あらすじを話してくれました。

翌日、確か家にあったと探し出し読んでみました。母となり、今読み返すと新たな発見とともに胸があつくなり、気がつくとティッシュと仲良しの私がいました。
娘の帰宅を待ち「読んだよ、泣いたわー」と言うと「でしょー!」
ここのところ母娘で野菊の墓で盛り上がっている毎日です。BRAIN で風邪気味の娘が咳をすると友達から「民子のように死んじゃうよ」と言われ、自分も「私は死ぬのが本望であります、死ねばそれでよいのです。明け方に息を引き取るの」などと返したとの報告。すると、私は「残念ねー、写真と手紙無いものねー」「そうなのよー」と娘。
また、読後、ブレインの友達がどのような反応だったのかを聞くと、身振り手振りで教えてくれ、その情景が目に浮かんできます。

中3のこの時期、学校では三者面談があり、期末テストがあり、いよいよ子供の神経が尖ってくる時期です。親としても見守ろうと思いつつも、つい余計な一言が増えてくる時期です。そんな中、同じものを読み、共感し、親子で会話がはずみ、嬉しい限りです。漫画で気分転換もいいけれど、やはり昔の良い本で気分転換になればなによりです。
そして今迄、私があらすじを話し興味をもったようなので、「それでは」と本を渡すと、読むものもあれば、読まないものもありで、今回、家庭での本の与え方も改めて考える良いきっかけをいただいたと感謝しております。

娘が「最近少年犯罪多いねー」などと言うこのご時世で、かたや「野菊の墓」を読み感動して泣いた女の子、男の子。なんてBRAIN の子供達は良い子なのでしょう。子供達が皆良い本と出会い感動する気持ちがあれば少年犯罪はなくなるのに、とふと思ってみたりして。
「次はないのかしら?」と思いつつ、我家での盛り上がりを感謝を込めてお知らせ致しました。ありがとうございました。

いいものはいいのです

私も、このお便りをいただき嬉しかったです。でも、こんなところで親子の接点ができるなんて素晴らしいですね。やはり素晴らしいものは、いつの時代でも素晴らしい。今月は、音楽・文学で古典に戻って嬉しかった月でした。