霊犬早太郎

10.5.20 BTI.No.112より

ゴールデンウィークもあっという間に過ぎ、中高生は新学年になって初の定期試験を迎える時期となりました。最近流行の「パワースポット」でパワーを蓄えて試験に臨んでいる生徒もいるかもしれませんが、皆様いかがお過ごしのことでしょう。

長野のパワースポット「分杭峠」

その「パワースポット」なるもののひとつに長野県の「分杭峠」というのがあります。丁度、休暇中で友人の長野の別荘に来ていたので、せっかくなので友人とその「分杭峠」に行きました。中央道駒ヶ根ICで降り、「分杭峠分杭峠…」と友人とぶつぶつつぶやきながら峠に向かいます。

駒ヶ根の市街地を通っていると、「霊犬早太郎伝説」なるポスターがはってあり、気になるわけです。犬好きの私も友人も「早太郎」が気になるわけで「早太郎早太郎…」などとぶつぶつつぶやきながら「分杭峠」に行ったわけです。

霊犬早太郎

別荘に戻り酒を飲み「パワースポット効果」で友人が「頭痛がなくなった!!」など盛り上がっていたわけですが、突然「あの早太郎ってどういう犬なんだ…」と友人が言い出すわけです。携帯で調べてみると、こんな伝説があったんですよ。ちょっと長いのですが「早太郎伝説」をどうぞ。

昔のことです。信州信濃の光前寺というお寺の下で、山犬が三匹のかわいい子犬を生みました。それを知った和尚さんは、毎日おいしいご馳走を、たくさん運んでやりました。月日がたち子犬はだんだん大きくなり、母犬といっしょに、お寺の庭をかけ回って楽しく遊ぶようになりました。

ある日、母犬は三匹のかわいい子犬を連れて山に帰ろうとしたとき、一番利巧そうな子犬を一匹お礼としてお寺へ残していきました。その子犬は、灰色をしていて、強そうで、走ることがとても早かったので、和尚さんは「早太郎」と名前をつけて可愛がっていました。

在る寒い日の夕方のことです。お寺の裏山へ恐ろしい怪物が出てきて、遊んでいた子どもをさらって逃げようとしました。それを見つけた早太郎は、風のような速さと、すごい力で、怪物と戦い、子どもを助けました。そのことがあってからは、村の人たちも、優しく強い早太郎をみると抱いたり、なでたりして可愛がってやりました。

そのころ、遠州(静岡県磐田市)では、秋祭りの晩になると、可愛い女の子のいる家に、白い矢が飛んできて屋根に刺さり、矢の刺さった家では、女の子を、白木の箱に入れてお宮へ供えなければなりませんでした。それをしないと田畑の作物が一晩のうちに荒らされてしまうのでした。

とうとうお祭りの夜がやってきました。お坊さんが、白い木の箱に入れた女の子の様子を見ようと、太い木の陰に、そっと隠れて見ていると

「今宵、今晩、信州信濃の早太郎はおらぬか。このことばかりは早太郎に知らせるな。」

と何回も歌いながら、大きい怪物が現れ、白い木の箱の中から、女の子をわしづかみにすると、ものすごい早さで消え去って行きました。その様子を見たお坊さんは、おそろしい怪物の歌った歌を忘れることができず、一日も早く信州信濃の早太郎を捜そうと思い、旅をしている六部という人に頼んでみました。頼まれた六部は

「信州信濃の早太郎はおらぬかい。信州信濃の早太郎はおらぬかい。」

と早太郎捜しの旅に出かけました。

六部は毎日あちら、こちらと捜し回って、やっとのことで、信濃の宮田という村のお茶屋にたどりつき、ひと休みをしてお茶を飲んでいるとお茶屋のおばあさんが、早太郎の話を聞かせてくれました。話を聞いた六部は、喜びいさんで、お茶もそこそこに光前寺へ行き、早太郎を貸してくださいと、和尚さんに頼みました。

六部から怪物の出る話を聞いた和尚さんは

「早太郎がんばっておいでよ」

と犬の頭を優しくなぜなぜ六部に渡しました。早太郎を借りた六部は大喜びで遠州へ帰っていきました。

さて、冷たい風が吹くお祭りの夜のことです。可愛い女の子の身代わりに早太郎を白い木の箱に入れて、神様の前に供えておき、お宮のえんの下のすみでじっと様子を見ていると、大きい怪物が待ちかねたように、太い杉の木から飛び降り、あたりをキョロキョロ見渡して、

「今宵、今晩、信州信濃の早太郎はおらぬか、このことばかりは早太郎に知らせるなよ」

と歌いながら、白い木の箱に近づいて行きました。怪物がふたを開けたとたん、早太郎は箱から飛び出して怪物に飛び掛っていきました。怪物も負けずに「ウワー、ウワー」と、すごい叫び声をあげて早太郎に飛び掛りました。しかし、早太郎はうなり声ひとつあげず、すごい速さと力で闘い続けました。怪物は体中、血だらけになりだんだん弱っていきました。早太郎も少しけがをしていましたが、最後の力をふりしぼって、怪物ののどにかみついていきました。怪物は「ギャー」といってばったりたおれ、動かなくなってしまいました。

お祭りの夜があけたので、村の人たちが、おそるおそるお宮へ行ってみると、早太郎の姿は見えず、年とったサルが血まみれになって死んでいました。

早太郎は、血まみれのまま、遠い遠い信州の光前寺までやっとのことでたどりつき、縁側にいた和尚さんの顔を見ると「ワン」と一声吠え、ばったりたおれて死んでしまいました。

和尚さんは、死んだ早太郎の体を、優しく、優しくなでながら

「早太郎よくたたかった。強かったな。」

とほめてあげました。そして、太い杉の木にかこまれた本堂の左横に穴を掘り、永い永い眠りにつかせてあげました。

どうです。悲しすぎる(涙)。ハッピーエンドにするべきだ!!! その晩は「早太郎」話で深酒。『老サルを退治した「早太郎」は村の皆から感謝され、多くのお土産をもらって、それを背中にしょって光前寺に帰っていった…』な~んて話にしたらよかったのに…、などと深夜まで語り盛り上がりました。

「早太郎」巡り

結局、翌日早朝から「早太郎」巡りということでまたまた一度駒ヶ根に行ってきました。まず、光前寺。信州信濃ではあの善光寺に次ぐ寺なんだそうです。丁度ご本尊様ご開帳の時期と境内の桜が満開の時期が重なって、かなりの賑わいを見せていました。

ありましたありました「早太郎」のお墓。「早太郎」の像もあります。連れて行ったうちの犬は「あっ、早太郎だ」とか参拝の少年少女たちに言われてましたが、うちの犬メスなんですが…。お賽銭を奮発500円!! 犬連れの参拝客は多かったですね~。寺の近くには「早太郎」温泉などもありました。お土産に「早太郎」お守りです。

町の「霊犬早太郎伝説」のポスターは『生月』という菓子屋(http://www.hayataro.jp/)のポスターでした。「霊犬早太郎最中」「霊犬早太郎物語」「霊犬早太郎煎餅」「霊犬早太郎月かげ」の4種が「早太郎」系で、その他もとっても美味そうでした!! ネットでも購入可能です(『生月』のまわしものではありませんが…)。私は「月かげ」に感動しました。そして、またまた「分杭峠」に行って帰ってきました。

光前寺にお願いしたいこと

是非、光前寺に死んでいった犬たちの供養をしてもらいたい、そういうお寺にしたらどうでしょうか。愛犬家も多いことですし、きっと人気が出るに違いない!! 村おこしですよ村おこし。そして、もっともっと偉い「早太郎」を世の中に広めましょう!! そんなゴールデンウィークでした。

今回はただの旅行案内になってしまいましたが、是非、皆さんも愛犬を連れて駒ヶ根の「光前寺&分杭峠」に行ってみましょう~。