最近嬉しかったこと ~その1

2003.11.18 BTI.No.61より

今年も、木枯らし吹きすさぶ中、恒例のしし座の流星を眺める頃となりました。皆様いかがお過ごしのことでしょう。
高3はそろそろ自覚も出始め、受験体制が整ってきているようですが、小6・中3はまだまだといったところです。中3は、目前の山である期末テストを何とか乗り切れば、後は受験にまっしぐらなので楽なんですが、小6は、あと2ヵ月半です。息している暇もない時期です。頑張るしかないですね。

CDを貸す

さて、今回は私にとって、嬉しいお話がありました。まずは、中1・小3で通っているY田さんママです。何が嬉しかったというと、「CD貸してくれ」とお願いされたんです。

最近、妙な音楽がはやり、へんてこりんな格好をして、キャーキャー言われながら歌っている軟弱そうな歌手ばかりが注目されている世の中。そういえば、私たちの若かりし頃もG.ひろみだとか、S田けんじやらの軟弱そうな男どもが人気あったようですが、今の彼らは立派なおじさんになってしまいましたね。

まあ、そんな連中の軟弱な音楽がはやってまして、私の好きな音楽なども、軟弱な輩に引き込まれ、ムードミュージックに近い曲ばかり集められた軟弱モードがはやってしまいました。あーあと思っていたときです。Y田ママからメールが届いたのは。

玄人好みの選曲

「モーツァルトのピアノ協奏曲第25番と27番、ハイドンの交響曲第101番の時計と……」

感動しました。何と言ってもクラシックはいいですよ。私も過去ではありますが、クラシック音楽の世界にいたわけですから、なおさらです。しかも、Y田ママからのご要望のモーツァルトはピアノ協奏曲でもあまり有名ではないというか受けが悪い25番と27番です。逆に言えば、玄人好みで、ピアノの技術も難しい曲で、名人でさえ失敗するような曲です。

25番はイギリスの名ピアニスト、クリフォード・カーゾンとイギリス現代作曲家のベンジャミン・ブリテンがイギリス室内管弦楽団を指揮したものがいいですね。まさに「英国紳士」の演奏といっていいでしょう。

クリーヴランドとセル、そしてカザドシュ

27番はモーツァルト最後のピアノ協奏曲です。2枚のレコードに思い出があります。一つは、フランスの名ピアニスト、ロベール・カザドシュ、そして名指揮者ジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団の演奏です。懐かしい、淡い思い出がよみがえってきます。彼は30年かけてクリーヴランド管弦楽団を片田舎の3流オーケストラから、アメリカの「ビッグ5」とよばれるまで育てあげました。

セルは1970年に亡くなりますが、死の数ヶ月前、大阪万博で初来日。音楽界の帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンをして「世界最高のオーケストラ」と言わしめたクリーヴランド管弦楽団を率い日本公演を行いました。この来日公演のCDは先ごろ発売され、今、手元にありますが、まさに最後の命を燃焼し尽くした、と言っていいくらいの感動の演奏でした。そのセルとクリーヴランド(表記ではコロンビア交響楽団ですが)をバックに、フランスの心と言っても過言ではない名ピアニスト、ロベール・カザドシュ。最高です!!

ゲルマン魂と鋼鉄のピアニスト

そして、もう一つの27番は、ゲルマンの魂を持つ最後のオーストリア人(決してウィーン人ではない)カール・ベーム指揮のウィーン・フィル、そして、ピアノは鋼鉄のピアニスト、エミール・ギレリスです。

ウィンナワルツが苦手な不器用なベームの棒の元、モーツァルトは甦ります。ベームが亡くなったとき、私はレコード屋に走り、ベーム指揮ウィーン・フィルによるモーツァルトの「レクィエム」を買って聞いたことを思い出します。私のオーケストラの友人は全員同じレコードを買っていました。やはり、クラシック音楽にかけた心がみんな同じだったということを知り、感動したものです。

こんな思いが、Y田ママのおかげで思い出され、ひとり感激していたわけです。Y田パパとは「中年不良軍団の会(亭主の人権を守る会)」をつくり、酒を飲んでくだまいて喜んでいますが、これからはY田ママも「同志」となることでしょう?