巨人阪神OB戦
あっという間です。ついこの間まで、猛暑続きだった異常な夏だったのに…。それなのに、もう秋も終わりです。そしていよいよ冬ですね~。受験生諸君は1月の大学センター試験を皮切りに3月まで試験が続きます。しっかりやってくれよ~。なんて思っているこの頃、皆様いかがお過ごしのことでしょう。
休みをください
申し訳ありません。今度の日曜18日に、私に休みを一日だけください。もう疲れ果てて…、ではなく遊びに行かせてください。何をするのか? 実は「野球」見に行くんです。こんな時期にあるのかと思いますがあるのです。実は「巨人vs阪神OB戦」なんです。静岡県の草薙球場でゲームがあります。
草薙球場といえば73年前の1934年12月、全日本軍が、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリックらを擁したアメリカ・メジャーリーグ選抜と戦い、伝説の投手沢村栄治が全米軍を負けたとはいえ、一失点完投した球場です。
夢の「巨人vs阪神」
この伝統の草薙球場での伝統の巨人・阪神OB戦。巨人は栄光のV9監督川上哲治が率い、コーチには今すぐにでも巨人の監督をやってもらいたい広岡達朗、そして選手には世界のホームラン王である王貞治、悪太郎こと前巨人監督堀内恒夫、左のエース高橋一三、赤い手袋柴田勲、安打製造機張本勲、新しいところでは現監督原辰徳、ヤッターマン中畑清、そして元祖怪物江川卓。
それに対する阪神は、総監督は田宮謙次郎、エースは精密機械小山正明、「空白の1日」江川事件のもう一人の主役小林繁。そして、長嶋・広岡の三遊間を越えるといわれた三宅秀史と牛若丸吉田義男、もちろんミスタータイガース掛布雅之も…。
試合自体はお年寄り軍団ですから、どうでもいいんです。ミーハー野球ファンとしては、彼らの姿をこの目で見ることが大事なことなんです。まあ、元選手たちが張り切りすぎて、アキレス腱断裂や、鎖骨骨折などしなきゃいいんですが…。
真剣勝負にかける
昔はよかったなー。400勝投手金田vs長嶋初打席の4打席4三振。村山vs長嶋展覧試合サヨナラホームラン。奪三振王江夏vsホームランキング王。ある意味、彼らの戦いは野球ではなかったのかもしれません。一対一の真剣勝負でした。
あれは忘れもしない1971年10月15日、巨人vs阪急による日本シリーズ第3戦、9回2死までわずか1安打の阪急エースの山田投手。左バッターボックスにはこのシーズン不調であった王貞治。山田、左アンダースローからの剛速球。突然球場の音が…。5万人の観衆の喧騒が一瞬「無音」になったんです。
その無音状態を突き破ったのは、王のバットから発せられた「バキッ」という金属でボールを叩き潰すような音。5万人の歓声とも悲鳴とも取れるような爆音が球場全体から発されていく…。マウンドにうずくまり西本監督から抱えられるようにしてやっとベンチに引き上げた山田の前を、ヘルメットを押さえうつむき加減にダイヤモンドをゆっくり一周する王。王の劇的な逆転さよならホームランで、一気に緊迫した試合に幕が下ろされる。ドラマです。
山田はこのときのことを
「あれで人生が変わった。本気で野球にのめりこんでいった」
と語っています。
たかが一球、されど一球。この一球だけで、考え方もすべて変わってしまう。彼らには次はないんです。この一球に全身全霊をかけ、戦っているんです。
「明日があるさ」なんてお気楽じゃない!!
この一対一の真剣勝負が、私の好きな野球であって、今でもこの呪縛から逃れることが出来ないわけです。実は、この観点からは、今の野球はほとんど失望する方が多いんですが…。そんなわけで休ませてください、次の日曜日。
明日なんかない
さて、お母様方が今までの野球のお話を読んでも「何言ってんの」で終わりそうですが、実はここからが大事なところです。
毎年プロ野球はドラフトという制度で新人選手が約150~200人入団します。ちなみに東大の募集人数は3053人です。単純に言って、プロ野球選手になる方が圧倒的に難しいです。さらに10年続けることが出来る選手はせいぜい20人くらいです。とんでもなく、凄まじい世界です。
最近、テレビなどでよく放映され有名になった「合同トライアウト」ですが、球団から戦力外通告を受け、再審査の「合同トライアウト」に参加する選手が100人近くいます。それに合格するのはせいぜい10人。入ったはいいが、続けることも難しいのがプロ野球の選手なわけです。
こんな中で「明日があるさ」…。誰がこんなこと言えますか? 生きていくことが保障されている世界じゃありません。現に引退して、自殺をした不幸な選手もいました…。
生徒たちはどうですか? 受験生諸君はどうだろう…。本当に志望校に入りたい? えっ、まだ志望校で悩んでいる。まだ間に合いますが、もう少し、真剣に自分の将来を考えてもいい頃です。野球選手のように、ずっとプレッシャーと戦えとは言いません。しかし、人生に勝負しなければいけないときが何回かあるならば、その第一回目が、受験する今ではないでしょうか。
受験の神様
「どこでも入れればいいや」そんなことは、将来を真剣に考えたら言えません。私も中学の頃、夜中、布団に入り将来を考えたことがあります。怖くなって眠れませんでした。
「あの高校に入れなかったら、大学はあそこは無理だ。就職だってろくなところはなくなる。この先どうなっていくんだろうか…」と思っていたら、結果はただの太った塾教師でした…。
「失敗したらどうしよう」なんて甘えも勝負の世界にはありません。なぜなら、失敗は許されないからです。失敗したら終わりなんです。この受験の時期だからこそ、必死に真剣に「負けてはならない」という強い意志を持って、受験に立ち向かうべきです。そして、この苦しい経験が今後の自分の人生を、大きく強いものにしていくことでしょう。
毎年書きますが、今年も書きます。いつも受験生には言います。「『受験の神様』はいる」と。本当に必死で、寝る時間も削って、合格したい一心で、本気で勉強した生徒にだけ『受験の神様』は微笑みます。反対に、いい加減に、受験前だけやればいい、遊びが大事、といった生徒には振り向きもしません。絶対受験にまぐれはありません。
あと2ケ月。まだ間に合います。受験生は『受験の神様』に微笑んでもらえるよう、志望校に向けて必死に頑張って勉強してください。
そして、受験を1年後、2年後に控えた生徒諸君たちも、「『受験の神様』はいつも見てる」ということを忘れずに、真面目に真剣に勉強に取り組んでください。
BRAIN TRUST INFORMATION No.83